
オルソケラトロジーの仕組み
眼は入ってくる光を主に角膜および水晶体で屈折させて網膜上に焦点を合わせることで像として捉えます。近視とは遠方の像が網膜の手前で焦点を結ぶことを言い、そのために像はぼけてしまいます。

オルソケラトロジーレンズを就寝時に装用することにより、寝ている間に角膜表面の形状を平坦化させます。角膜が平坦化すると網膜の手前で結ばれていた焦点が網膜上に結ばれ、近視が矯正されます。

平坦化された角膜はレンズをはずしても一定時間形状を保つことができるため、日中は裸眼のまま十分な視力が得られます。実際に平坦化するのは角膜表面の角膜上皮と呼ばれる厚さ約0.5mmの5から6層の細胞層です。角膜上皮は常に再生する組織であるため、レンズの装用を中止すると数日で角膜の形状は完全に元に戻ります。
近年オルソケラトロジー治療の継続により小児の近視進行が抑制されることが国内外で報告されています。現在も一部の大学病院を中心とする研究機関で調査が継続されています。近い将来、オルソケラトロジー治療が実用的かつ安全な小児近視抑制法として確立する可能性があります。当院では治療を受けられる方を安全性の面から原則15才以上に制限をしています。小学生、中学生については保護者と面談の上医師が治療可能と判断した場合にのみ治療を行います。
レンズの構造と作用

涙液の流れにより、レンズ中央部のベースカーブ部位に角膜を押し込む力が働き、ペリフェラルカーブ部位にレンズを持ち上げる力が働きます。リバースカーブ部位には涙液が貯まり角膜中央部が平坦化する代わりに角膜周辺部が厚くなるためのスペースが作られます。アライメントカーブ部位はレンズの位置を安定させる働きをします。
オルソケラトロジーの効果

オルソケラトロジーの効果は個人差が大きく、一定ではありません。効果が出ても元に戻る早さも個人によって異なります。レンズを装用してから30分程度である程度の効果が認められることもあります。装用時間が短い場合あるいは装用が不規則な場合はすぐに元に戻ってしまい、効果が十分に得られないこともあります。臨床試験では装用開始2週間から4週間で、8割近くの例で1.0以上の日中安定した視力を得ています。
オルソケラトロジーは角膜表面のみを平坦化させますので、その効果には限度があります。アルファ社のオルソーKレンズの適応範囲は近視度数-1.0D~-4.0D、乱視度数-1.0D以内になります。
オルソケラトロジーの安全性について
オルソケラトロジーの利点
オルソケラトロジーの最大のメリットは効果が可逆性であることです。装用を中止すれば角膜の形状は元通りに復元します。元々近視は眼が現代のライフスタイルに適合した状態といえます。不可逆的な近視矯正手術を受けた場合、40歳代になると調節力が衰えて老眼の症状で悩むことが多くなります。近視の方が便利なこともあります。オルソケラトロジーは手術と比べると、より気軽に治療を受けることができます。
オルソケラトロジーの欠点
オルソケラトロジー治療を受けてもコンタクトレンズから解放されるわけではありません。近視矯正効果が安定しない場合もあります。また効果には個人差があります。特に装用初期は視力の日内変動がみられることもあります。オルソケラトロジーの最大のメリットである可逆性は同時に欠点でもあります。
オルソケラトロジーは角膜表面の形状のみを変化させるため、その近視矯正効果には限界があります。中等度以上の近視の矯正には適しません。
オルソケラトロジー用レンズは高酸素透過性であり、特殊な構造をしています。そのためレンズは通常のコンタクトレンズよりも汚れが付着しやすく、より念入りにケアを行い、定期検診を頻繁に受ける必要があります。
オルソケラトロジーの危険性
オルソケラトロジー治療用レンズは基本的に一般のハードコンタクトレンズと同じです。一般のハードコンタクトレンズでみられるトラブルはオルソケラトロジー治療でも当然起こり得ると考えられます。臨床試験または国内外における使用例では重篤な合併症は報告されていません。しかし、オルソケラトロジー用レンズはその特殊な形状からケアが難しく、また涙液交換が少なく、角膜が酸素不足になりやすい夜間睡眠中に装用することから、ケアおよび使用方法を誤ると当然従来のハードコンタクトレンズよりも重篤な合併症を起こす可能性があると考えられます。
報告されている合併症には以下のような物があります。
1. 検査所見として角膜ビラン(角膜表面のキズ)、上眼瞼結膜乳頭増殖(アレルギー性結膜炎の悪化)、角膜鉄沈着(無害)、結膜充血など。
2. 装用時に自覚症状として異物感(最も多い)、掻痒感、圧迫感、乾燥感など。
3. 非装用時の自覚症状として遠方視力不良、単眼複視、グレア(まぶしい)、夜間視力後退、近方視力不良など。
その他にも表だった報告はありませんが、角膜炎、角膜潰瘍(感染症)などの重篤な合併症も起こす可能性があります。
オルソケラトロジー治療プログラムの流れ
適応検査
予約の必要がありません(毎週月・火・金の午前・午後および木・土の午前、木・土の午後は不可)。近視度数、視力検査、眼の一般検査・診察を行い、眼の病気がないかを調べます。また、オルソケラトロジー治療を受けられる基準を満たすかを判断します。
治療プログラムの説明とテスト装用
予約が必要です。予約できる日は不定期です。適応検査後に予約をお取りします。オルソケラトロジー治療プログラムの説明、レンズ装用のための検査・診察を行います。実際にレンズを装用して頂きます。レンズの装用感と効果を体験して頂きます。当日は2時間から3時間程度かかります。この時点で検査結果をもとに治療に使用するレンズを決定します。1年間の治療費をお支払い後、レンズを注文します。レンズはカスタムメードですので、出来上がるまでには数日間かかります。
治療(装用)開始
レンズが出来上がったら指定日に再来院して頂きます。レンズの装用・レンズの取扱説明および今後の定期検査スケジュールについての説明をします。
定期検診のスケジュール
装用開始3日以内に検査を行います。
その後1週間後、2週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、
以後3ヶ月毎定期検診を行います。原則予約の必要はありませんが、毎週月(午前・午後)、火・金(午後のみ)、土(午前のみ)に限定します。レンズの再作等は予約が必要になります。治療プログラムは1年契約です。次年度は再契約が必要です。再契約時には原則として新しいレンズに取り替えます。
このページに掲載されている図および写真はすべてアルファ社より提供されました。
アルファ社オルソケラトロジーサイト

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